一定期間更新がないため広告を表示しています

アトピーはとかく周囲に心配される病気だ。

 

僕が容姿を気にしない性格だからか、意外と本人はあっけらかんとしている。

どうせほとんどのケースで死に至る病気ではないと、僕自身は思っている。

 

一応ものの本には「アトピーで死亡した例もある」と書かれているけれど、これはとても重症な例だと思う。

物事を深刻に捉えるのは自然科学を追求する上では殊勝な姿勢ではあるけれど、こと自分の体調に関することであまり重症な事例に備えてばかりいると、「墜落が怖くて飛行機に乗れない」ということになる。

別にそのような考えを持つ方を否定はしないけれど、ひとまず僕の中では「自分のアトピーは死に至るものではなく、単に痒いだけ」ということになっている。

 

さりとて見た目はいつも赤い肌で、たまに傷口まみれになっているものだから、周囲の心配を買ってしまうことはよくあった。

 

そういうとき、周囲から「〇〇がアトピーに良い」ということを勧められることがある。初めてその経験をしたのが、小学校の頃だった。

 

祖母から「馬の油」が良い、と勧められたのだ。

 

緑色のラベルに「馬の油」と書かれたご飯ですよ大のビンに、ラード状の白い固形物が入っている。

これを祖母からもらい、家の冷蔵庫に保管しては度々傷口に塗っていた。

 

当時は当然、馬の油というものが何かはわからなかった。

せっかくなので今調べて見ることにしよう。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/馬油

「馬の油」でググると、大量の化粧品メーカーがヒットしたので、偏りのない情報を得るためWikipediaさんを頼ることにした。

 

馬の油は本当に馬肉の油のことで、古くから保湿剤として使われていたようだ。

なるほど馬肉を食べるとトロリと口の中でほどけるような食感がするのは、おそらく馬の油の融点が牛肉などよりも低いからであって、この性質が肌を保湿するのに優れているということか。


アトピー治療において「保湿」はとても大切だ。

現在のアトピー治療のゴールラインは、「保湿剤だけで肌をきれいに保てる状態にすること」に設定されている。

だから保湿はどんな時にでも気にして気にしすぎることはないというわけだ。

 

ということで、ここまで調べた上で、今の僕のアトピーに関する知識に照らせば、馬の油は治療法としてそこまで的外れではなかったということになる。

(もっとも単にワセリンか保湿クリームを塗れば十分という話は置いておいて)

 

かつて実家の冷蔵庫に置かれていた馬の油は、当然習慣化することはなく、程なくして冷蔵庫に忘れ去れるようになった。

食べかけのご飯ですよに並んで、カピカピになるまで放っておかれ、祖母は祖母で「馬の油を息子の家にあげた」という貢献で満足し、それっきり話題には上らなくなった。

 

本件に関していえば、祖母がそっち方面に熱心に走らなくて、ほんとうに良かった。

 

民間療法の目的は、間違いなく「オススメする人の好意を満足すること」にある。

その親切だけは、僕にとっても嬉しいのだ。

 

三谷幸喜が少し寂しいシーンで役者によく言わせる台詞に

「ありがとう。気持ちは嬉しかった。」

というのがあるが、まさにそれだ。

 

であれば、仮に効果がなかったとしても、特にひどい目に遭う訳でもなく、金を毟り取られるのでもなければ、それでいいじゃないか。

そう思うアトピー患者は僕だけではないと思う。

 

もし祖母が買った馬の油がひと瓶1万円とかだったら、嫌だけどね。

 

JUGEMテーマ:アトピー性皮膚炎

コメント
コメントする