アトピー治療のため、体質改善薬という類いのものを何度か飲んだことがある。

 

高校の頃にステロイドの神様に出会わせてくれた医者のところと、

社会人になってからは埼玉県戸田の皮膚科と、今通っている皮膚科の3回だ。

 

高校の頃に通っていた皮膚科と今通っている皮膚科では、「アイピーディーカプセル」というものが処方された。

これは、IgE抗体を産生することを抑制する効果がある薬で、免疫過剰を落ち着ける効果があると言われる。

これを一日3回にわけて毎日6カプセル飲む。昼も飲む必要があるから結構大変だったし、薬価も月4000円程度する。

 

漢方薬を処方されることもあった。

高校の頃はアイピーディーカプセルと併用し、漢方も処方された。薬名はさっぱり忘れてしまったけれど、これも毎日3包飲むように言われていた。

 

戸田の皮膚科では、抗ヒスタミン剤と一緒に、「抑肝散」という漢方を処方されていた。

 

抑肝散は子どもの「疳(かん)の虫」、夜泣きやむずがり等の小暴れを抑える時に使う薬だ。

東洋医学の前ではアトピーの掻きむしりも子どものヤンチャと同じというわけだ。

 

また、肝を抑える薬と書くように、大人のイライラや神経過敏をダウナーにする効果もあるらしい。

 

僕は知人友人の間では癇癪もちで有名で、突然不機嫌になったり暴れたりする悪癖がある。

「てぃだは80%はいい人」と言われ、残り20%が理由で疎遠になった人もいる。

 

高校生の頃、村井ニボシが食べようとしていたシュークリームを、口に運ぶ直前ではたき飛ばしたこともある。

シュークリームを食べるとき、まさかそれがはたき飛ばされると思って口に運ぶ人はいないだろう。

ニボシのシュークリームは見事にテーブルの外まで弾き飛ばされ、それを見て僕はゲラゲラ笑っていた。

今でもどうして自分がそんな行動をとったのかわからないし、その映像を思い返すたびに大笑いしながら「ニボシ、ごめーん」と思う。

 

職場でも、シュークリームをはたき飛ばすことはないものの、それなりに破天荒で通っているところがあって、よく言えば情熱的、悪く言えばトラブルメイカーだ。

そんな僕の隣で長く働いていた落ち着いた気性の同僚に、僕が抑肝散を勧められたことを伝えたら、

「それは間違いなく名医だよ。よくぞ、てぃださんの肝を止めてくれた。

 ああ、あとは副作用で死に至る薬を処方してくれまいか・・・。」

と真顔で言われたことを覚えている。今でもその顔をぶん殴ってやりたいと思う。

 

 

話を戻そう。

 

免疫機序に基づく体質改善薬や、東洋医学に基づく漢方を飲んで、僕の身体はどうなったのか。

 

正直、高校の頃と埼玉の頃はよくわからなかった。

効果を測定する方法もよくわからなかったし、なにより薬を飲むことによるゴールが設定されていなかったからだ。

 

今通っている皮膚科では、アレルギーテストをした後でアイピーディーカプセルの服用による効果を確かめた。

初期の「横綱級」と言われた散々なテスト結果から、体質改善薬の服用を続け、1年後にもう一度アレルギーテストをして変わりぶりを見てみようというわけだ。

 

体質改善薬の効果には僕も懐疑的ではあったが、期待もあった。そのため一生懸命薬を飲み続けた。

正直漢方の頃は薬を飲まないこともよくあって、未だに家には飲み残した「抑肝散」が何包かある。

残った抑肝散は、今度誰かのシュークリームをはたき飛ばしたい衝動に駆られたときに服用したいと思う。

 

だが、このときは、アレルギーテストというゴールが見えているので、きちんと一年間飲み続けることができた。

また、その病院では「光線療法」という、紫外線を皮膚にあてる治療も2週に1度やった。これも1年間、休まず通い続けた。

 

1年後、医者からアレルギーテストの結果を説明された。

 

僕は、

「1年間頑張って続けてきました。結果はどうでしたか。」

と、身を前に寄せてぐぐいと尋ねた。

 

医者は、

「ああ。去年よりも悪くなってますよ。」

と言った。

僕はその場で盛大にズッコケたのだった。

 

「ちょっと待ってください。1年間、毎日3回高い薬を飲み続けたんですよ。

 光線療法も1年間続けました。それなりに大変でした。

 それで『何にも効果がなかった』じゃあ、さすがに納得できません。」

 

「いや、キミのアトピーは横綱級だと言っただろう。

 モンゴルに行っても横綱になれるくらいのアジアチャンピオン級なんだよ。

 そんな簡単に治るわけないじゃないか。」

 

「そんなあ!

 少なくとも同じ治療法は続ける気になりません。」

 

「わかった、わかった。

 確かにキミには、現代の標準治療では間に合わないのかもしれない。

 今ちょうど、重症のアトピー患者を対象に治験への参加を募っている。

 アメリカでは承認されていて副作用も見つかっていない有望な薬だから、参加を検討してください。」

 

医者のなんとも老獪な立ち回りに丸め込まれ、体質改善薬の治療は終了した。

 

そして、その後に紹介された治験が、僕の人生を変えるデュピクセントとの出会いになったのだ。

 

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