治験の頃の話に戻ろう。

 

治験には、約半分の確率で偽薬るプログラムに1年と、全員真薬が使えるプログラムに2年、合わせて3年参加した。

 

治験の日程に合わせて皮膚科に通い、身体を測って、薬をその場で射ったり自宅で使う分をもらう。

身体のチェックは体温、体重、医師の診察、それと血液検査だ。

 

治験の情報収集が第一目的なのだけど、オプションで僕が望んだので、血液検査の結果を見せてもらっていた。

肝機能数値やコレステロール値などが並んでいるのは普段の健診と同じなのだけれど、海外で処理されているせいか単位が違う。

毎月血液検査をしていたので、自分の毎月の健診数値が分かるのが勉強になったし、「尿素窒素」とかの単位を揃える方法を調べたおかげで、健診数値に詳しくなることができた。

 

 

治験の間、痒みが消えていたので皮膚の調子はとても良かったのだけど、一時期胸元に水膨れができたことがあった。

何年か前にかかった帯状疱疹に症状がとても似ていたので、医師に

「治験を行なったことによる病状変化と言えないか」と相談した。

 

医師の診断は

「これはステロイドアクネス。軟膏を塗りすぎたことによるアクネ菌の増殖だね。」

ということだった。

 

「なるほど。でも、軟膏を一日2回塗るのは治験プログラムの指示だったんですよね。

 これの医療費は補償してもらってもいいですか」

と僕は突っ張ることにした。

別に治療費の金額は大したことはないのだけれど、治験のルールにあった、治療費が補填されるルールがどの程度の広さで適用されるのか、確認したかったのだ。

 

「これは明らかに治験薬によるものではないからねえ。」

「でも、治験プログラムによるものではあります。」

「では、当医院のほうで医療費を補填するよ。それでいいね。」

「うーん。まあ、僕の希望は医療費を補償してもらうことなので、いいですが。」

 

というやりとりがあり、病院の方から薬代を返してもらった。

治験会社と医師の関係がどのようなものなのか、モルモットである僕には知ることはできなかったのだけど、その一端を垣間見た気がした。

 

 

3年の間、僕にとても効く薬をタダで使わせてもらい、通院のたびに1万円をもらう生活を過ごし、プログラムは終了した。

薬の投与をやめてから、2か月程度かゆみの水準をチェックし、治験はお開きになった。

 

治験では追われていなかったのだけど、僕にとって大事な実験として、デュピクセントをやめたあとかゆみが戻るのかどうかという問題があった。

 

医師には「またかゆみが出たら伺います」と言って、しばらく僕の身体をほうっておくことにした。

 

かゆみが元に戻り始めたのは、デュピクセントの投与をやめてから3か月経ってからだった。

寝しなに、チクチクと、アトピーらしいかゆみが感じられるようになったのだ。

 

ただ、アトピーは、傷がかゆみを加速させるというところがあるので、傷がない状態でかゆみだけあるとき、意外と症状は悪化しないものなのだ。

 

たまに擦り傷ができたところを残っていたステロイド軟膏や保湿剤でケアし、かゆみがひどい時は抗ヒスタミン剤を飲みながらしばらく過ごしていた。

 

かゆみが治らなくなり、顔に赤みがさしてきたのは、10か月ほど経ってからだった。

 

デュピクセントのかゆみの「保ち」は3か月で、総合的な症状への保ちは10か月くらいというのが、僕の人体実験の結果だ。

 

JUGEMテーマ:アトピー性皮膚炎

コメント
コメントする