抗ヒスタミン剤もいろいろな種類を飲んできた。

 

高校生 ポララミンとセルテクト(〜2000年)

大学生 エバステルまたはジルテック(2001年〜2007年)

社会人 ネオマレルミン(ポララミンのジェネリック)、ザイザル、ルパフィン(2008年〜2019年)

 

時代を通じて抗ヒスタミン剤の薬剤開発の過程が見えるようだ。

「ポララミン」は抗ヒスタミン剤第一世代と言われているのに対し、「ジルテック」「ザイザル」は抗ヒスタミン剤第二世代の代表選手だ。

 

僕が初めて抗ヒスタミン剤を処方されたのは中学の頃、ポララミン2mgを一日1錠だった。

当時は医者の言いなりなので薬の選択を自分ではできなかったのだけれど、症状が治っていないと判断されたのだろう。

そのうちポララミン6mg錠に替えられた。

2mgの時は白いちっちゃい薬剤だったのが、赤い糖衣にコーティングされたものに変わり、形状からして「本気だぞ」と言っているようなふうだった。

 

このポララミン6mgが強烈だった。

頭がぼーっとして、何にもやる気が起きなくなるのだ。

 

コタツの中にしばらく入っている感じ、というのに近いだろうか。

眠くなる前に子どもの身体があったかくなることがあると思うのだけど、それが体内で起きているような感じだ。

 

そんなに嫌なら薬をやめればいいじゃないかと思うんだけれど、かゆみに効果はあるようなのだ。

薬を飲む前は傷口がとにかくかゆかったのだけど、それが治まるというのははっきりある。

アトピーで最もおそろしい、かゆみの悪循環を止めることができるようだ。

 

なので、薬を飲むのはやめられない。

しかし、たまに薬を上回るかゆみに襲われることもあって、症状はそれほど良くはならないし、ステロイド軟膏は手放せない。

これが永遠に続くのがアトピー患者にかけられた呪いだった。

 

おかげさまで薬剤の技術は進み、ポララミンよりも眠くなりにくい薬が処方されるようになった。

「ザイザル」はジルテックの眠さを抑えていて、業界では「スーパージルテック」と言われているそうだ。

その話を医者から聞いた僕は、スーパーでないジルテックを長年飲んでいたものだから、時代の流れを思うような遠い目になったものだった。

 

それでも「ザイザル」を初めて飲んだとき、朝起きられなくて会社を遅刻した。

僕だけなのかもしれないけれど、初めて抗ヒスタミン薬を飲む時は眠気の効きが強くなるようだった。

僕はザイザルに「ダメニナール」というあだ名をつけて、周囲に言いふらして回った。

 

 

抗ヒスタミン剤は、多くのアレルギー患者にとってわかりやすい呪いの薬だろう。

飲んでいる時に思うことは、躁うつ病の思考の類型ととても似ている。

 

薬を飲んでいるときの自分が「ほんとうの自分」ではない。

薬さえやめれば、自分は大きなことができる。

薬のせいで、自分は抑圧されている。

 

そういう思いが片隅によぎるようになる。

 

医者の言う、「アトピーは生きることへの反抗だ」という名言が身にしみる。

活性をやめよ。生きようとするな。

躁うつ病の人間に対しマリオネットの糸を切るのは、確かに一番の治療法だ。

いっそ命を切ってしまおうか、と希死念慮を覚えることもあった。

 

活性と不活性の1%と99%の間をうろうろしながら、ダウナーになったり、気持ちを持ち直して代わりに肌がボロボロになる。

これを繰り返していくうち、だんだんと居心地の良いエリアを見つけ、気持ちと症状が平衡していく。

こうして僕は大人になったように思う。

 

「ダメニナール」の真相は、ひょっとしたら「大人になる薬」なのかもしれないな、と思った。

疳の虫が収まって、大人になる過程をアシストする薬だ。

だとしたらできすぎた話だから、ここで筆を置いておこう。

 

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